温度成層式蓄熱システム「亀山貯蔵(かめやまためぞう)」
追従性と安定性に優れ、省エネルギー化と省スペース化を実現させた「亀山貯蔵」は、温度成層式を採用した新しい蓄熱・貯湯システム。独自構造のタンクユニットと独自アルゴリズムによるコントロールユニットを組み合わせることで可能になりました。開発の経緯をこう語ります。
「大量にお湯を必要とする工場や宿泊施設などの大規模施設では、大容量の熱源機で大量にお湯を作り、貯湯タンクに貯めながら給湯使用箇所に供給します。熱源機と貯湯タンクを組み合わせて、熱源機のサイズを最適化することで、イニシャルとランニングのコストを抑えるだけでなく、使いやすくバランスの良い給湯システムが構築できます。ところが、日進月歩の熱源機に対して、まったく進歩のない貯湯タンクにふと疑問を抱きました。そこで、単なるお湯を貯める機能としての従来の貯湯タンクの枠にとらわれない全く新しい発想の製品開発を目指すことにしたのです。」
撹拌の防止と制御が開発のカギに。
通常、貯湯タンクは60℃以上のお湯で100%満たされています。給湯使用時はタンク内からお湯が供給されるのと同時に、供給されたお湯と同量の冷たい水が補給されます。この際、お湯と水が混ざってしまうので、従来型の貯湯タンクは、お湯を使えば使うほど貯湯タンク内のお湯の温度が低下してしまうという問題がありました。
そこで、高温水と低温水の比重の違いを利用して、タンク内に高温水部分と低温水部分の2層の温度成層を形成させることで、せっかく作ったお湯と水が混ざらないように分けてしまうことを考えました。タンク内で温度成層を形成するだけなら、撹拌しないようにしながら、タンク内に供給する温度を一定に保てばよいのですから、さほど難しいことではありません。ところが、お湯の生産・消費・貯湯・補給を同時に行いながら、タンク内に温度成層を形成させることは容易なことではありません。
これらの課題に、撹拌を抑制する独自構造のタンクに、お湯や水の流れをコントロールする機能を加えることで解決し、熱源機を定格稼働化させることによる省エネルギー化、高効率の蓄熱による省スペース化も可能になりました。
「みやぎ優れMONO」認定をバネに次の展開へ。
桜井邦昭さん
今回「みやぎ優れMONO」に認定されたことで、「県にお墨付きをいただいたことは、PRするうえで大きい」と二人。
「カタログの制作や展示会でもバックアップや補助金をいただき、産業技術総合研究所の「被災地企業の技術シーズ評価プログラム」の採択を受けることもできました。この評価プログラムで省エネに関する詳細な定量評価を行い、さらにPRしていきたいと思っています。また、今後は太陽熱やバイオマスなどの再生可能エネルギーと組み合わせたいと考えています」
「亀山貯蔵の開発、みやぎ優れMONOの認定で、被災地の中小企業から元気が発信できたらうれしいです」
(2013年12月 インタビュー)