第7回みやぎ優れMONO認定製品

脱水助剤『リセルバーMTシリーズ』

国際的な環境保全への視座と共に。脱水助剤の開発を通じて、水循環の健全性を力強く支える。

リセルバー

我が国においては、過去における深刻な水質汚染を教訓に、産業活動に伴って発生する排水を厳しく規制して、公共用水域・地下水の水質汚濁を防止しています。工場・事業場などの特定施設は、各種法令に基づく基準を遵守しなければなりませんが、排水処理の困難さは、時に生産活動の大きな負担になるほどでした。「当社の『リセルバー』を導入された養豚事業者さんが、3倍の増産を実現されたそうです。うれしかったですね」と顔をほころばせるのは三浦会長。植物性繊維(セルロース)を主成分とした脱水助剤『リセルバー』の登場によって、汚泥・汚水処理の現況は大きく様変わりしたようです。「従来は、高分子凝集剤による凝集/架橋作用によって固液分離し、脱水機にかけていましたが、残った固形の物質(脱水ケーキ)の含水率は80%前後で、この値はなかなか下がらなかったんですね」。汚泥・汚水処理のポイントの一つは、この脱水ケーキの含水率。低ければ低いほど、焼却処分する際に使用する補助燃料を低減でき、堆肥化するにあたっても、好気性雰囲気となるため悪臭の発生を抑制することができます。

脱水ケーキの含水率を大幅低減、水処理性能をアップ。

リセルバー

「排水処理は大規模なプラントとなりますから、大手メーカーの寡占状態でした。中小企業として活路を見出さなくては、と考えたのが、環境負荷低減にもつながる脱水ケーキの低含水率化でした。この部分に関しては、どのメーカーも新機軸を打ち出せずにいたのです」と語る三浦社長。脱水助剤としてのセルロースの可能性を実証するため、宮城県畜産試験場での実験・評価を繰り返した結果、想定した以上の良好なデータが得られました。 「高分子凝集剤との併用により、サラサラの脱水ケーキを得ることができました。また、汚泥・汚水中のBOD(生物化学的酸素要求量)、SS(浮遊物質)、油分、窒素、リンの吸着除去率も目を見張るものがあり、水処理システムとしても優れた特徴を持つこともわかりました。さらには強力な脱臭作用ですね。畜産業における臭気対策は、地域コミュニティとの兼ね合いで、とても重要になってきます」。

地球環境保全に向けた排水処理の国際的スタンダードに。

リセルバー

『リセルバー』の種類は、現在50超。「お客さまから汚泥・汚水サンプルを送っていただき、実験・設計し、最適な凝集剤との組み合わせを提案しています。四季によって成分も変動しますから、それらも考慮します」。だから失敗がないのです、と自信をのぞかせます。元々、化学分野の研究者・専門家の知己が多く、闊達なブレーンストーミングを繰り広げてきたという三浦会長。「彼らとの意見・情報交換が発想の源となりました。資源循環型社会を支援するシステムとして、『リセルバー』を排水処理の国際的スタンダードに…という期待も大きいのです」。それに向けて、国内のみならず、米国、欧州、韓国、中国の国際特許も取得済みです。「とりわけ中国では水質汚染が深刻で、水環境保全が最重要施策に位置づけられていますから、技術と知見で貢献できることがあるのではないかと思っています」。持続可能な社会に向けて必須な水循環の健全性。『リセルバー』が果たす役割は、ますます大きくなっていくことでしょう。

(2015年3月 インタビュー)

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