FRP製検査路
実は『みやぎ優れMONO』への認定は二度目となるコスモシステム㈱。「FRP製基礎『BASE CUBE(ベースキューブ)』(第3回『みやぎ優れMONO』認定製品)は、おかげさまでたいへん好評をいただいております」と破顔一笑の秋田谷社長。第7回の認定製品となった「FRP製検査路」も、ベースキューブと同様の開発背景によって誕生しました。社長が続けます、「どちらも現場(お客様)からのニーズを、独自の技術開発力によってカタチにし、自社製品に結実させたという共通項があります。いわゆるボトムアップ型の製品提案ですね。当社の事業の柱となっているのが、移動体通信基地局の建設工事、雷被害対策、太陽光発電の設備資材ですが、それらを手掛けるなかで、お客様からの要望をもれなく捕捉し、社内の開発グループへフィードバックする仕組みができています」。
高耐久・軽量・高施工性「検査路」で、維持管理の重要性に応える。
「検査路」は、橋梁の上部構造や下部構造、付属設備の点検や保守を行うために設置される通路です。これまでは鋼製(亜鉛系めっき鋼材)が主流でしたが、沿岸部や融雪剤を散布する地域においては、塩分による腐食(錆)が発生しやすく、深刻な問題となっていました。折しも様々な重大事故を受けて、公共施設の維持管理の確実性が強く求められるようになっており、安全・安心のためにも検査路の重要性が増していたのです。「耐食性を高めるため、素材としてFRP(繊維強化プラスチック)を採用しました。FRPはベースキューブにも展開していましたから、知識とノウハウがあります」と開発グループリーダーの櫻井さん。紫外線劣化を防ぐフッ素樹脂塗装を施し、結合部には高耐食メッキ処理ボルトを採用。また、独自のブラケット構造により、躯体側の条件(不陸など)に左右されずに位置調整ができるような工夫がなされています。単一ユニットを20㎏以内にし、人力での運搬・施工も可能にした点、さらには柱材と手摺材を一体化することにより、現場工期の短縮につなげた点は、まさに現場発想といえるものでしょう。「初期費用は鋼製と比較して割高になりますが、なんといってもメンテナンスフリーですからライフサイクルコストは大幅に低減できます」。
“変わらない決意、変わり続ける勇気”と共に新価値創造へ。
そもそも橋梁用と位置づけていた「FRP製検査路」ですが、お客様からその信頼性を高く評価され、大型プラントの点検通路として引き合いも来ています。その商品力によって、製品自らがセールスパーソンとなり販路を広げていった好例です。「新製品のプロジェクトは常に複数走っています」と秋田谷社長。新しい価値創造への気運に満ちる自由闊達な社風は、ウッドデッキのルーフバルコニーや図書室、モーツァルトが流れる社内など、自社ビルの設計・運営思想にも現れています。「企業の持続可能性を支えるのは、本業を大切にしながらも、常に新機軸を模索する、つまり“変わらないために、変わり続ける”ことだと思っています」。『みやぎ優れMONO』の3回目の認定も視野に入れるコスモシステム、新製品の登場に期待しましょう。
(2015年3月 インタビュー)